5/28/2013

従軍慰安婦問題について

まさかこの超〜軽い私のブログに従軍慰安婦について書くなんて全く思いもしなかったが、橋下府知事の発言でわかに再度脚光を浴びているこの話題について、数ヶ月前の記憶がよみがえって来た。自分のために記しておくことにする。

以前通っていたアッパーウエストサイドの英語学校のクラスメイト、ロシア人女性ツベタナ。彼女は20代後半でモスクワでロシア語教師だった。主に韓国人にロシア語を教えていた。彼女が勤めていた語学学校のオーナーも韓国人だったそうだ。
私はロシアにそんなにたくさん韓国人がいることも全く知らなかった。
ツベタナは韓国人のボーイフレンドがいて結婚したいと言っていた。彼は30代前半でモスクワのどこかの大学の学生だった。元々彼女のロシア語クラスの生徒だったらしい。

ツベタナは明るい積極的な性格でクラスメイト全員とすぐに友達になった。特にアジアンの女子が好きみたいだった。アジアンは私の他にキラという若くてカワイイ韓国人がいた。ツベタナは積極的に意見も言う。夏の時期はベテランの英語教師達はバカンスに出かけてしまうが、世界中の学生がニューヨークにやってくる時期でもある。語学学校としては書き入れ時なのにベテラン教師は不在なので未経験のアルバイト的な教師を多く雇う。
ひとり作家志望のいかにも新人の教師がいた。彼女は語学学校の先生にしては珍しく、物静かなタイプで声もあまり大きくなくて、クラスをかき乱すような生徒がいると簡単に主導権を失ってしまうタイプだった。
ツベタナはその新人教師が我慢できずクラスの女性生徒を先導してクビにした。その後もちょっと変わったタイプの男性の新人教師も気に入らなかったらしく、事務局にかけあっていた。彼もひと夏でいなくなった。

そんな強い意志を持った彼女がなぜか私を気に入り、去年の夏頃 彼女の部屋に招待してくれた。彼女はマンハッタンから1時間くらい離れたブルックリンの空港近くに姉と2人で住んでいる。姉は平日は老人介護をしながら週末はロシア教会の聖歌隊の指揮者をしているそうだ。彼女達は教会の一部の施設で暮らしていて、質素だったが広かった。

ツベタナと私はとりとめのない話しをして夜も遅くなった頃、彼女が「どうか気を悪くしないで欲しいのだけど…」と切り出した。従軍慰安婦の話しだった。
まさかロシア女性からその話題が出るとは思わなかったので少し驚いた。彼女はボーイフレンドが日本人をとても憎んでいる、と言った。彼からたくさんの事を聞いたと話した。
まず彼女が私に聞いたことは、従軍慰安婦が本当にいたかどうか信じるか?と言うことだった。彼曰く、多くの日本人は従軍慰安婦をウソだと信じていないと彼女に言ったらしい。
私は「事実だと思う、戦時中は日本に限らずどこの国も大差ない状態だったはずで、日本人女性も従軍慰安婦のような存在はたくさんいた。」と思っていることを答えた。次に彼女が言ったのは、韓国人従軍慰安婦は日本兵にレイプされた後、韓国人が増えないようにと子宮を破壊され、その後家族を持つことすら出来なくされた、とのことだった。私はそのことは初耳だったし女性としてショックを受けたが、そういうこともあるかもしれない、と思ったのでそのようの述べた。
その後、ツベタナはこう言った。「あなたが日本人としてそれを悪いと思うならば、明日キラ(クラスメイトの韓国人女性)に会った時に、従軍慰安婦の件について謝罪して欲しい。そうすれば、韓国と日本の関係は良くなっていくと思う。」とのことだった。
私は正直、驚愕した。その様子を見て彼女は「もしあなたが韓国と日本のより良好な関係を望むならば今後韓国人に会った際に是非実行して欲しい。」と付け足した。私は戸惑いを隠せなかった。そして少し考えてからこう言った。「残念ながら従軍慰安婦の件で謝罪するのは私の役目だとは思えない。キラも私に謝罪されたいとは思えないし、私が謝罪する意味を感じられない。もしも私が日本政府の役人ならば、そうする意味はあるのかもしれないが、私にその責任があるとは思えない。」と正直に思っていることを話した。ツベタナは「分かった。」と言って「もしも気分を悪くしたのならば、ごめんね。」と言った。私は「驚いたけれど、気分を悪くした訳ではない。このような話しをしたのは初めてだったけど有意義に思う。」と言った。
それから、この話題については触れなかったように思う。

もちろん従軍慰安婦については一般的な知識程度はあったが、 日本国内にいる間に外国人、特に韓国人がどのように思っているかは全く知らなかったし興味もなかった。完全に過去の産物、騒いでいるのはヨボヨボのお爺さんとお婆さんだけだと思っていた。
私が通っている語学学校はどこも若い韓国人が多く女性は特に社交的だ。男性はヘラヘラした軽い感じの人はあまりいないし、みんな真面目で感じが良かった。私は同じアジアンとして彼等に親しみをいつも感じている。韓国人から従軍慰安婦について聞かれたことはないし、私も聞いたことはなかった。ツベタナはロシア人だが韓国人の彼から従軍慰安婦について韓国人的見解をたくさん聞いたのだろう。そして彼は日本は従軍慰安婦を認めていないし謝罪もしていない、と言ったらしい。これは多分韓国人の平均的な意見なのではなかろうかと思った。日本人のそれとはずいぶん違う。
私が何よりも驚いたのは、こんなに若い世代の人々が従軍慰安婦の問題についてはっきりと意見を持っていることだった。日本の一般的な20代30代がこの件に関して意見を持っているとは考えられなかった。歴史の伝え方の差異によって生じる問題なのだろう。過去を感情抜きで伝えるのはなかなか難しいことなのかもしれない。

私はこの話しを日本人の友達やアメリカ人の友達に話してみた。私が謝罪すべきか意見を聞きたかったのだ。みんな驚いて「君が謝る必要は一切無いよ!」と言った。中にはそんな人とは話しするのをやめた方がいい、と言う人もいた。
そういえば去年3ヶ月間お世話になったアパートのオーナーのステファニーは50代のアメリカ人だが、ニューヨークタイムズの1面に「従軍慰安婦問題に関して日本に謝罪を求めます」 という広告が出た時「あなた、コレ見た?」といって誌面を持って来てくれた。「これについてどう思う?」と聞かれたので私は口ごもりながら「私は日本人として何もいう資格はないと思う。」と言った。ステファニーは「これはやり過ぎだわ。こんなことは戦争中は世界中どこにでもあった話しよ。」と言った。ステファニーの伯母さんはドイツにいたユダヤ人でドイツ兵にレイプされたそうだ。ホロコーストにも連れて行かれそうになったが終戦直前だったので幸いなことに解放されたらしい。「酷い時代だったのよ。」とステファニーは言った。
今思ったが、もしも私が韓国人だったらステファニーはきっとその人にニューヨークタイムズを見せて「当然よ!日本は謝罪すべきだわ。」と言っていたと思う。そういうアメリカ人の柔軟なところが私は大好きだ。人を喜ばせる為には多少ウソがあってもいい、というかどちらもウソではないのだと思う。これがアメリカと日本の問題だったら大違いだと思うけど…。

今まで韓国人クラスメイトに従軍慰安婦について聞いたことは1度もなかったけれど、今度率直に聞いてみよう。せっかくこんな環境にいるのだから、聞かない手はない。もしも彼等に謝罪を求められたら…それはその時考えようと思う。



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